2016年05月25日

リパブカン詰の紹介(改訂版)について

WFP95号に掲載された変寝夢氏の記事「リパブカン詰の紹介(改訂版)」についてコメントします。
本来なら、元記事(WFP92号に掲載された「リパブカン詰の紹介」)に対する差分について明らかにされていないといけないのですが、残念ながらその記述はありません。

私が記事の内容から読み取れた範囲では、次の2点の説明が加えられています。

1. 1手で詰むときは必ず玉を置かねばならない(「玉を置くことができる」ではない)
2. 協力系の攻方については上記を適用しない


1.は「1手で詰むときは(そうしたくなくても)詰めなければならない」という「reflexmate」に似た設定ですね。
ただし、2.があるので、後手だけにreflexmateが強制される「semi-reflexmate」の方が近いでしょうか。

チェスプロブレムのRepublicanのルール設定がどうなっているか詳しくは知りませんが、1.だけならともかく、その副作用として2.が必要になるのであれば、率直に言って、あまり巧いルール設定とは思えません。
「○○の場合は例外」とするルール設定は、解答者に無用の混乱を与え、誤解を招くので、可能な限り避けるべきです。

こういう場合の定番の対応は「玉を置くことができる」ルールと「玉を置かねばならない」ルールで別の呼び名を付けることです。
そうすれば2.の規定は必要なくなり、解答者の混乱も防げるでしょう。
例えば「玉を置くことができる」を単に「リパブリカン」と呼び、「玉を置かねばならない」を「強制リパブリカン」と呼ぶ、というのがパッと思いつく一案です。

今回の改訂版で付け加わった要素は上の2つだけだと思うのですが、逆に前回も今回も触れられなかった要素についても考える必要があります。
それは「リパブリカン」における合法性の判定です。
第81回WFP作品展ではDD++氏から攻方玉で王手を掛ける解が示されたのですが、これが「リパブリカン」で除外される理由が元記事にも改訂版にもありません。
一応、筆者の解釈を結果稿に書いておいたのですが、これが作者の意図しているものと合っているのかどうかコメントが欲しいところです。以下に該当する部分を抜き出します。

リパブリカンにおける合法性の判定
1. 玉がどこかにいる前提での着手の合法・非合法の判定は行わない。
 (着手自体の合法性の判定は行う)
2. 最終手では玉を置いた後の配置で合法局面かどうかの判定を行う。
3. 合法局面の判定は「逆算可能性」については考慮せず、あくまでその局面単独で基本的な条件(駒の数と種類が正常、行き所のない駒がない、二歩がない、手番側の玉に王手が掛かっていない)を満たしている場合に合法とする。

最後に記事の構成についても一言。
この記事は「リパブリカン」というルールについて包括的な記述がなく、思いついた所だけをピックアップしている形式なのが困ります。
「ルールの全貌はこうです。でも一度に全部を説明するのは大変なので、今回はここについて詳しく説明します」という形なら分かり易いのですが、今のままだとルール説明が完結したのかどうかさえ分かりません。
自分の頭にあることを文章にするのはそれなりに労力の要ることですが、新しいルールを提案するときには必要な作業なので、作品の発表と同じくらい力を入れて欲しいと思います。
タグ:ルール
posted by 神無七郎 at 15:08| Comment(1) | 論考